割りと好きな作者の作品
有名ドコロでは皇国の守護者あたりだろうか
ただ遅筆すぎて。。
題名
黙示の島
著者
佐藤大輔
ジャンル
SF
評価
80点
あらすじ
太平洋に浮かぶ離島に主人公がやってきた所から物語が始まる。
小さいが住み心地のよさそうな島で主人公はヒロインである女医と親交を深めたりするが、彼が島についた時点ですべてが"終わって”おり後は始まるのを待つのみだった。
翌日には島の駐在が奇妙な死に方で亡くなり、次々に異変が巻き起こる。主人公たちは助けを呼ぼうと、島の引きこもり軍オタ少年や剣道少女、元諜報部員の爺さん達の手を借りて外から助けを呼ぼうとするが……
感想
いわゆるゾンビ物の小説。
個人的にゾンビ物を始めとしてパニック物は、異常が始まる前と後のギャップ、そして少しずつ事実が明らかになるにつれて追い詰められる主人公一行、更に周囲の状況が分からない閉塞感などにあると思っている。なのでバイオハザードの映画は1しか面白くないと思う。
この小説はそこらへんの要件を上手く描けているが、いかんせん一冊で終わりなので少し弱いかもしれない。何しろあらすじで書いたように、小説の始まった段階でパニックへの条件はすべて整ってしまっていて読み終えてみると、あれはもう日常ではなかったんだなと気づくことになるからだ。
またパニックの進行も、出来ればもう少しじんわりと進んで欲しかった気がする。みんなが状況を把握して絶望打ちひしがれる前に次々と状況が進んでしまい、躊躇なくゾンビとの戦いを始めてしまうからだ(最も躊躇なく戦える面子が揃うところには理由がある)。
ただし不満点はその程度で、著者の作品に多いような薀蓄が散りばめられているのも楽しいし、ゾンビ化の設定もよく練られていてリアリティがあった。キャラクターも、それほど長くない割にはきっちりと描かれていて、分かりやすいのも好印象。全体的に駆け足なのであっという間に読み終える事だと思う。
ラストでは、離島で起きたパニックが既に世界中へと伝染してしまった事が描かれていて、そこは淡々と書かれているだけに否応なく想像力をかきたてる。あまり本作とは関係ないが、パニック物は多くあって、小松左京の復活の日みたく人類滅亡寸前までの描写をしている小説は多くあれど、アポカリプス後を描いてる作品が見当たらないのが不満。今度探してみようと思います。
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