ちょっと調べたらアニメ化するらしい。まぁ映画化するよりはマシかなーと思うけど
内容に比べると随分幼い感じだったけど大丈夫なんだろうか
日本SF大賞受賞作
題名
新世界より
著者
貴志祐介
ジャンル
SF(かなー?)、青春モノ(かなー?)
評価
90点 名作!
あらすじ
少しあらすじから外れてしまうが、自分が読み始めたときは裏表紙のあらすじ(あったかなー?)は読んでいないので、ぶっつけ本番で読み進める事になった。
最初は、立ち読みでさほど集中していなかったので速読気味だったのも影響したのが、印象としてはこれSF?伝奇ものとかそういうのじゃね?という感じだった。何故なら、そこに描かれているのはさして現実と大差ない街とそこにクラス少年少女、そして悪鬼や業鬼と呼ばれる存在だったからだ。しかし少し読み進めるだけで何かがオカシイことに気づく、端々に異常が現れてきたのだ。その代表格が呪力でありハゲネズミ。そしてこの2つは、この後の物語の中心を為す事になる。
まだこの世界の成り立ちを知らぬ少年少女の視点と同じくして進んでいく本作は、逆に今と彼らの今の違いが如実に見える所から、その世界の姿が浮き彫りになっていく。
感想
長い本で、どうあらすじを書くかが難しくこんなのになってしまった。
感想はといえば、大きく分けて2つ。一つは練りこまれた世界観と、テンポのいい物語。
特に世界観の方は、かなり早いテンポで情報が明らかになっていくのだが、謎が謎を呼ぶというか、知れば知るほど情報が欲しくなる感じで、最後の最後で愕然とした情報が提示される。もう少し丁寧に読み進めていれば予想できたのかもしれないが、作中でもあったがハゲネズミという人間臭くありながらも人外の容貌をしているがゆえに騙されてしまったのだ。
また秀逸なのは、社会の成り立ちの下りだ。
自分たち人間が動物の1種であることを、今までも分かってはいたもののやはりどうしても特別だと思い込んでいた気がする。でもこの本であったように、社会の複雑さによって特別という幻想のヴェールを被せられているだけで、現実にはそう動物の築くそれと大差ないのだ。そしての大差ない性質を、神の力を手に入れた事によって顕にさせられてしまうというのは、何だかこの小説世界のものすごい皮肉が見えてしまう。つまり人が無力な存在であるからこそ偉大な文明を築き上げたが、人が偉大な力を手に入れた末に文明を社会を崩壊させてしまった。
そして物語の方だが、有体にいって人間側に魅力的なキャラクターは存在しない気がした。
みんな達観してるか考えが浅いかの二通りで、むしろバケネズミ側に魅力的なキャラクターが多く存在していたように思う。ゆえに物語が最後に近づくにつれて盛り上がりを見せたと思う。
また悪鬼と業鬼という2つの凶悪な存在を前半で提示することによって、物語全体をミスリードしていったのも秀逸。最後の最後まですんなりと読み進めてしまう面白さがあった。
特に世界観の描写が秀逸でぐいっと引きこまれたので90点。名作!
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