2012年8月30日木曜日

アキハバラ@DEEP

結構昔に話題になってた気がする本を読んでみた
個人的には秋葉原には余り馴染みがない。小学生時分にカラフルな電球を父と買いにいったぐらいだ。常々行ってみたいとは思うのだが、オタクの町と言われると何だか気が引ける。というほど気難しい年齢でもないので、その内に行ってみようと思う




題名
 アキハバラ@DEEP
著者
 石田衣良
ジャンル
 SF、青春
評価
 80点、良作!

あらすじ
 吃音症だが博識のページ
 女恐怖症だがチャラくてデザインセンス抜群のボックス
 時たまフリーズしてしまうサウンドエディターのタイコ
 天才的なハッカーだがアルビノで外に出れないイオリ
 10年間引き篭もり、今は逆に出っぱなしなダルマ
 そして美少女過ぎて人生苦労してるアキラ

 物語ではこの6人がひとつにあつまり、そして新しいベンチャービジネスを立ち上げ、その敵が生まれ、最後には勝利とそして偉大なる跳躍を経験する事になる様が描かれている。

感想
 いやぁ面白かった。
 最後はもうひと踏ん張り世界がどう変わっていくかを読みたかった気もするけれども、そこは想像にお任せしてるんだろう。うん、ソッチのほうがいいのかもしれない。それに今の世の中だと色々共感するトピックが多い気がする。
 生憎、この物語のように情報生命体やAI型サーチ猿人なるものは現れていないが、SNS主導のアラブの春や逆に著作権問題による締め付けの強化など近いトピックスも多い気がする。
 個人的に一番思ったのは、キャラクターが輝いてるなぁという点。彼らには各々に欠点があるが、間違いなくそれぞれの分野のスペシャリストである。自分はどちらかといえば、器用貧乏な方なので羨ましく思ってしまう。そして欠点がありつつも立ち向かう様は、王様のスピーチ?でもあった通りカッコイイ
 感想が飛び飛びになっているけれども、もう一つよかったのは視点が未来のクルーグ視点から語られているという点だ。開発者の事を父と母と読んだり、その開発綺譚を聖書としたりと妙に人間的でこういうAIばかりなら、人間VS機械(もちろん物語の中だけだが、今のところ)減るのになぁと思ってしまう。
 しっかし、人が人以外とおしゃべり出来るような時代になったら何もかも劇的に変わってしまいそうだ。楽しみでもあり怖い気もする未来に80点!良作。

継ぐのは誰か?


前に改めて決意したとおり、星雲賞受賞作を読んで見ることに
日本沈没なんかで有名な小松左京さんの作品。中々好きな作家ですが
正直文章力は大した事ない印象の人
ただし着想力はすごく、こうきたかーっていう醍醐味を味わえる
もちろん素人考えなので、実際には凄い人なのかもしれないと逃げ場を作っておく



題名
 継ぐのは誰か
著者
 小松左京
ジャンル
 SF
評価
 70点、良作

あらすじ
 チャーリィ―を殺す。
 その殺人予告から巻き起こる一連の事件は、次第に人類全体の未来のスケールへと関わり、そして人類の歴史に隠れたもう一つの種族の存在。そして人の未来とは……

感想
 割りと夢中になって読んだ後で、こう書くのはちょっと申し訳ないんだけども拍子抜けした。なんというか腑に落ちない要素が多い気がしたのだ。

 細かい所では幾つかあるのだが、大きなのはフゥ・リャンという少女の生き方。少し生々しい表現があるのでご了承下さい。
 物語始まりの頃には、主人公といい関係になってて物語途上で出来ちゃって、最後には主人公と結婚する。なのだが、彼女は元々他の男に惚れていたらしく、更に最後の辺りではお腹に子供がいる事まで判明する。いや別に、お固い事を言うつもりはないのだが、惚れた相手と断言していて一度生で寝たぐらいには関係があってその上で主人公といい関係になるって心境が意味不明。しかも最終話で産むつもり(これは種族的な意味合いがあるのかもしれないが)ぐらいな相手なのにも関わらず、冒頭時点ではあっさり諦めてる。
 加えてインディオとしか交配出来ないはずの種族とちょいちょいやっただけで彼女が孕んだ理由も上手く説明されてないし、人を殺せるぐらいの電撃を使える連中と交わって電気に強い体質で済ますのも意味不明。
 てっきり途中で挟んだ、ブッダの頭もホモ・サピエンス・エレクトリクスの長老と同じって所から、旧大陸に残った方の一族の末裔とかそういう風に締めると思ってた。もしかするとそういう風に想像して欲しかったのかもしれないが、それだとすると明らかに説明不足。なんだか面白かっただけにケチがついてしまった気分だ。

 とはいえ、物語を通じて語られる新しい人類(作中では古い時代から存在してたのだが)は面白いテーマだ。最近だとジェノサイドなんかがそれにあたるだろうし、猿の惑星なんかもある意味そうかもしれない。それでいて南米の文明の逸話と重ね合わせる点などは、J・Pホーガンの星を継ぐものに近い要素があってぐいっと引き込まれる。
 それにしても、改めて考えさせられるのは我々人類が所詮動物、しかしながら偉大な動物だという事だ。新世界からでも思ったが、やはり人間は動物に過ぎない。どんなに頑張っても、食欲、性欲、睡眠欲のような原始的な欲求から逃れられないし、脳内麻薬によってもたらされるご褒美を求めて毎日あくせく働いたり遊んだりするのが関の山だ。しかし一方で、人類ほど繁栄した種族はいない。蟻なんかはバイオマスでは人間に匹敵するが、単独種ではないし、恐竜なんかが世界を支配したといっても支配したのは恐竜を頂点とする生態系だ。
 その点人類は圧倒的な地位を占めている。世界をあまねく支配し、圧政を敷き、それでもまだ飽きたらず上を目指す。これほど野心的で成功した種族は先には一つもなく人類だけである。ゆえに人類が後ろを振り返れない。振り返っても前人未到の域に達した人種の未来は見えないからだ。

 このあたりのテーマもこの小説に描かれていたが、中盤からは少しずれた感じだったのでちょい残念。総じて思索のレベルは高かったが、小説としての完成度は今一歩だったので70点、良作






陽だまりの彼女

昨日は忘れたので今日は早めに更新。後2つぐらい
なんでも男の子に呼んでほしいNO1恋愛小説らしい事が帯に書いてあった?
果たして



題名
 陽だまりの彼女
著者
 越谷オサム
ジャンル
 恋愛、青春
評価
 65点、佳作

あらすじ
 ちょっとハチャメチャな中学生活から、普通に高校に進み、普通に大学に進み、そして普通に社会人になった電車好きの青年が主人公。
 彼があるとき仕事先のランジェリーメーカーで、昔馴染みの少女と出会った所から物語は始まる。ありきたりのラブストーリーと思いきや、ちょっとずつ拗れて最後はハッピーエンド

感想
 端的に言えば、あっまあまのラブストーリー。呼んでてむず痒くなるいちゃつきっぷり。
 ちょっとネタバレ入るけど、中学時代にイジメられてた所を助けた男と、十何年もぞっこんで偶然の再開を演出するぐらいベタ惚れの少女のある意味運命的な物語だった。
 あんまりラブストーリーは読まないけど、ま、まぁ、こういうのはこういうのでありだと思う。何だかちょっと欝な気分にならないでもないけど、いちゃついてるのは微笑ましいと思うし。最後の方の少しずつ弱っていく彼女の姿なんかには寂寥感を覚えた

 でもなんだろう。だからこそ最後の結末はなんだかなぁと思ってしまった。
 順調にいちゃつくなかで、ちょいちょい散りばめられた伏線をどう決着つけるのだろうと読んでいたのだが、まぁ後から考えると多少読み込みが甘くて示唆してたことを見逃してただけなんだけれども、それでも最後は猫の恩返しでしたーってのは何だかなぁ。いやまぁ猫っぽいコケティッシュな女の子だなぁとは思わないではなかったけど、本当に猫でしたってのはどうなんだろう。この物語のどこらへんを男の子に読み解いて欲しかったのかも分からん。女の子は実はみんな子猫の1種なんだろうか
 ともかく、読みやすくテンポがよかったけれども最後が腑に落ちなかったので65点佳作!

 てか最近気づいたけど、低い点数あんまり出してないから60点以下意味ないね。実際、文庫化されてるレベルだとそんなにつまらないのないからしょうがないんだけども、これじゃ同じ評価点ばかりが重なって分かり難いなぁ。今後どうするか考え中



2012年8月28日火曜日

三匹のおっさん

昨日読んだ作品。レインツリーの国、フリーター家を買うに引き続き同じ作者の作品
wikiでは大人向けのライトノベルを謳ってる作者さんみたいだけれども
その通りでよみやすい作品が多い。てか女の人なんだなぁ



題名
 三匹のおっさん
著者
 有川浩
ジャンル
 青春!(色んな意味で)
評価
 85点!名作

あらすじ
 定年退職をした還暦の60才の3人の悪童ならぬおっさん達が一応は主役の物語。暇になった時間を使って、町内の治安を守るために立ち上がる3人は培ってきた経験を元に縦横無尽に駆け回る。

感想
 ああ、面白い。そんな印象がまずくるのが本作、昨日書いたフリーター家を買うのような物語の起伏は特にないが爽快でテンポがいいので勝手にページが進んでいく。
 特にいいのは、やはり3者3様でどこにでもいるなぁという格好のおっさん達がメインだから。確かに今時のおっさんは若々しい、というか今の日本は60で高齢者面出来るほど若い国ではない。そしてある意味人生における最後の転機とも言える年代で、ここでどう生きるかで生き様が決まるのかもしれない
 そしてこの作品で描かれているおっさんたちは普通だ。普通に頭が硬かったりするし、コミュニケーション能力に欠けてたりするし、頑固という言葉も似合うだろう。複雑なお年ごろでもある。ただしカッコイイ。
 途中から孫の祐希の視点で語られてたりするが、素直じゃない孫から見てもカッコイイ爺さんだという事は見えてくる。そしてフリーター家を買うや、レインツリーの国でもあったがやはり著者が説いているのはコミュニケーションの大切さ。カッコイイからといってふんぞり返っていてもかっこよくはない。何を書いてるかわからない気もするが、とにかくカッコイイのはカッコつけてこそなのだ。

 改めて考えてっみるとカッコイイというのは、彼ら3人だけではなく巷にも沢山転がっている気はする。自分の祖父も、昔電車に乗っている際に彼自身かなりの年なのに近くで立っていた老人に席を立って譲ったときなどはカッコイイと思ったものである。
 年寄りになっても、そういうカッコイイ人間でありたいと思ったので名作!85点

2012年8月27日月曜日

フリーター家を買う

さっきのは昨日の分という事でもう一冊
こちらもつい最近読了した作品
以前書いたレインツリーの国と同じ作者




題名
 フリーター家を買う
著者
 有川浩
ジャンル
 青春、家族
評価
 85点 名作

あらすじ
 平凡に大学卒業し、そこそこの会社に就職するもそこの社風が合わないと感じあっさり退職した主人公。根気のない彼への世間の風当たりは強く、中々再就職出来ない中で少しずつ意欲を失い、フリーターとして職を転々としながら日々を漫然と過ごしていく。
 しかしそんなある日、母が精神を病んで寝込んでしまう。
 今までずっと家族を支えてきてくれた母の危機に、フリーターは一心奮起して仕事を見つけ、母のために何かしようと決意することになる。

感想
 なんだかすごくリアリティのある話というか、面白かった。
 少しずつ堕落していく主人公と、それで病んでしまう母親、不理解な父親に、嫁いだやり手の姉。それぞれが個性的なキャラクターで読んでいくごとに、ああこういう奴いるなぁと思える程に普通で欠点があってそれでも美点もあるのがよかった。
 物語の展開はものすごくオードソックスだったが、そこに筆力が加わってリアリティのあるものになっている。挫折から立ち上がり、そして軌道に乗り、また家族の縁を繋ぎ直すという一連の展開に何故だかじぃーんとしてしまった。
 全体を通してテンポのいい展開と、わかりやすいキャラクターの織りなす物語はきっと誰でも楽しめる一品だと思う。名作!85点




天冥の標6 宿怨 PART2


昨日更新しようと思ったはずがのびのびに
まずいなぁ
取り敢えず、前も書いた感想のシリーズの最新巻から

 

題名
 天冥の標6 宿怨 PART 2
作者
 小川一水
ジャンル
 SF
評価
 80点 良作

あらすじ
 前作に引き続き、対立の時代から始まる6巻part2。
 スレ違いに加えてコミュニケーション不足、思い込み、相互不理解、そして純然たる悪意が加わって宇宙情勢はめちゃくちゃに。人類を巻き込んだ大戦争と、その影で蠢くELTの姿が少しずつ明らかになっていく

感想
 あらすじがよく分からない事になってしまったが、かなり色々情報が出てくる巻なのでネタバレ放題(まぁ毎回ネタバレ書いてる気はするけども)になりそうなので自重。
 しっかし被害者意識というのはリアルでも厄介なものだけど、こじらせると大変な事になるというのが印象。しかもそこにドラえもんモドキの何でも我儘聞いてくれちゃう異星人が加わっちゃうからさぁ大変。どこまでも異星人達に振り回されていく人類が描かれている。とはいえ、異星人の方も野蛮で非効率な人類に振り回されてる感じも面白い
 構図としてはロイズ VS 救世軍 という中央政府VS地方ゲリラ的な戦いが進行しているのだが、その影ではオムニフロラ、ノルルスカイン、カルミアンという3つの種族が蠢いている。ただみんながみんな自体を把握できていないのが不幸。ノルルスカインは相変わらず退廃的でヤル気ないし、オムニフロラは統一すっぞとヤル気だしてるけどもノルルスカインに意識取られすぎ、カルミアンはミスチフとノルルスカインの区別ができていないようで、尚且つコミュ不足が祟って場を混乱させる一方。まぁ結果的にミスチフに乗っ取られたロイズを打倒しようとしてるから、目的には合致してるのかもしれない。
 何だか何が書きたいか分からなくなってくる。
 それにしても、ロイズが完全にミスチフの支配下にあったり羊飼い連中がノルルスカインのし徘徊と、ああやっぱり的な事が幾つかあったものの。少し前の状態とは完全に入れ替わってるのに驚いた。宇宙時代の最初の方は、ノルルスカインがネットを通じて人類の中枢を監視してて、ミスチフがその間隙をついて周縁部で勢力拡大という感じだったのに、あっという間に乗っ取られたのが悲しい。ノルルスカインまじ無能。
 この分だと、1巻でもまだ嘘というかフェイクが混じってそうで楽しみ。

 次は6巻part3らしく、通算で9冊目だけれども全10巻だと後二冊になってしまう。とはいえ後2冊で風呂敷たたむ気配が皆無だから、まだまだ折り返し地点という感じなんだろうか。いよいよSF超大作になってきた感じがあって面白かったので80点良作!
 



2012年8月25日土曜日

再開


一週間空いてしまったが、明日からまた書こうと思う
一度書かないと続いて書かないなぁと反省

そして以前も書いたが、星雲賞の本を読もうと思う
長編で読んでないのを

去年はいい年になるだろう   山本弘 
ハーモニー   伊藤計劃
図書館戦争シリーズ   有川浩
サマー/タイム/トラベラー   新城カズマ
永遠の森 博物館惑星   菅浩江
彗星狩り 笹本祐一 敵は海賊・A級の敵   神林長平
引き潮のとき   眉村卓
ヴィーナス・シティ   柾悟郎
継ぐのは誰か?   小松左京
さよならジュピター   小松左京

まずこのあたりから攻めようと思う