2012年8月6日月曜日

イリーガル・エイリアン

今日も朝から、しかしSFだらけになってきてしまった
 明日は少し趣向を変えるかなぁ。

 この本は単純に説明するとSF×裁判モノ。
 基本的にSFってのは舞台設定や小道具にちょっと突飛だけ屁理屈をくっつけたのを使いますよって前置きなので、SFと一口にいってもミステリーや恋愛もののようにストーリーラインまでは固定されない。それこそコテコテの恋愛物もあれば、まったく別視点の小説もある。ただ共通していえるのは、現実ではない突飛でありつつも面白い世界観の構築といった点だろうか



題名
 イリーガル・エイリアン
著者
 ロバート・J・ソウヤー
ジャンル
 SF
評価
 80点 良作

あらすじ
 人類の初めてのエイリアンとのファースト・コンタクト。4光年あまり離れたαケンタウリに住むトソク族が飛来したのである。友好的な彼らとのファーストコンタクトは順調に進むがあるとき事件が起きる。それはトソク族の滞在する施設で惨殺肢体が発見されたのだ。
 彼の裁判の中で段々と明らかになっていく事実。殺人事件の真相、そしてトソク族の本当の目的とは……

感想
 まず読み始めと読み終えたときのトソク族のイメージは一変する。というか登場人物各々の印象も変わっていく。
 その点で面白いのは、トソク族がまったく人間に似ていない異星人だという点だ。日本のSFでは大抵エイリアンといえば、知性のない化け物かはたまた人類タイプのが多いが、その点このイリーガル・エイリアンで出てくるトソク族はまったく人類とは異なっている。そしてその彼らの生態が少しずつ裁判の中で明らかになっていく過程はまさにSFの醍醐味だと感じた。
 そして尚この小説を興味深いものにしているのは、人間から見たエイリアンだけではなくエイリアンから見た人間の姿も描かれているという点だ。彼らの思考が少々人類にそっくりだという点はひっからないでもないが、宗教に近いものが存在していたり実は内部でも対立があったりというのも興味深い。そしてその謎が少しずつ解き明かされていく様はミステリーとしての醍醐味だとも思う。

 そういう意味では、物語の端々から著者の価値観。多少日本とは違う西洋的な、アメリカ人的な感覚がにじみ出ている。まぁ対して違和感があるわけではないが、文章を通じてそういう違った価値観に触れられる(あるいは触れたきになる)のは思い込みにしても興味深いと思う。
 全体として非常に面白かったが、表紙がグロいのと少々のとっつきにくさがあったので80点。良作だと思う

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