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2012年8月30日木曜日

アキハバラ@DEEP

結構昔に話題になってた気がする本を読んでみた
個人的には秋葉原には余り馴染みがない。小学生時分にカラフルな電球を父と買いにいったぐらいだ。常々行ってみたいとは思うのだが、オタクの町と言われると何だか気が引ける。というほど気難しい年齢でもないので、その内に行ってみようと思う




題名
 アキハバラ@DEEP
著者
 石田衣良
ジャンル
 SF、青春
評価
 80点、良作!

あらすじ
 吃音症だが博識のページ
 女恐怖症だがチャラくてデザインセンス抜群のボックス
 時たまフリーズしてしまうサウンドエディターのタイコ
 天才的なハッカーだがアルビノで外に出れないイオリ
 10年間引き篭もり、今は逆に出っぱなしなダルマ
 そして美少女過ぎて人生苦労してるアキラ

 物語ではこの6人がひとつにあつまり、そして新しいベンチャービジネスを立ち上げ、その敵が生まれ、最後には勝利とそして偉大なる跳躍を経験する事になる様が描かれている。

感想
 いやぁ面白かった。
 最後はもうひと踏ん張り世界がどう変わっていくかを読みたかった気もするけれども、そこは想像にお任せしてるんだろう。うん、ソッチのほうがいいのかもしれない。それに今の世の中だと色々共感するトピックが多い気がする。
 生憎、この物語のように情報生命体やAI型サーチ猿人なるものは現れていないが、SNS主導のアラブの春や逆に著作権問題による締め付けの強化など近いトピックスも多い気がする。
 個人的に一番思ったのは、キャラクターが輝いてるなぁという点。彼らには各々に欠点があるが、間違いなくそれぞれの分野のスペシャリストである。自分はどちらかといえば、器用貧乏な方なので羨ましく思ってしまう。そして欠点がありつつも立ち向かう様は、王様のスピーチ?でもあった通りカッコイイ
 感想が飛び飛びになっているけれども、もう一つよかったのは視点が未来のクルーグ視点から語られているという点だ。開発者の事を父と母と読んだり、その開発綺譚を聖書としたりと妙に人間的でこういうAIばかりなら、人間VS機械(もちろん物語の中だけだが、今のところ)減るのになぁと思ってしまう。
 しっかし、人が人以外とおしゃべり出来るような時代になったら何もかも劇的に変わってしまいそうだ。楽しみでもあり怖い気もする未来に80点!良作。

継ぐのは誰か?


前に改めて決意したとおり、星雲賞受賞作を読んで見ることに
日本沈没なんかで有名な小松左京さんの作品。中々好きな作家ですが
正直文章力は大した事ない印象の人
ただし着想力はすごく、こうきたかーっていう醍醐味を味わえる
もちろん素人考えなので、実際には凄い人なのかもしれないと逃げ場を作っておく



題名
 継ぐのは誰か
著者
 小松左京
ジャンル
 SF
評価
 70点、良作

あらすじ
 チャーリィ―を殺す。
 その殺人予告から巻き起こる一連の事件は、次第に人類全体の未来のスケールへと関わり、そして人類の歴史に隠れたもう一つの種族の存在。そして人の未来とは……

感想
 割りと夢中になって読んだ後で、こう書くのはちょっと申し訳ないんだけども拍子抜けした。なんというか腑に落ちない要素が多い気がしたのだ。

 細かい所では幾つかあるのだが、大きなのはフゥ・リャンという少女の生き方。少し生々しい表現があるのでご了承下さい。
 物語始まりの頃には、主人公といい関係になってて物語途上で出来ちゃって、最後には主人公と結婚する。なのだが、彼女は元々他の男に惚れていたらしく、更に最後の辺りではお腹に子供がいる事まで判明する。いや別に、お固い事を言うつもりはないのだが、惚れた相手と断言していて一度生で寝たぐらいには関係があってその上で主人公といい関係になるって心境が意味不明。しかも最終話で産むつもり(これは種族的な意味合いがあるのかもしれないが)ぐらいな相手なのにも関わらず、冒頭時点ではあっさり諦めてる。
 加えてインディオとしか交配出来ないはずの種族とちょいちょいやっただけで彼女が孕んだ理由も上手く説明されてないし、人を殺せるぐらいの電撃を使える連中と交わって電気に強い体質で済ますのも意味不明。
 てっきり途中で挟んだ、ブッダの頭もホモ・サピエンス・エレクトリクスの長老と同じって所から、旧大陸に残った方の一族の末裔とかそういう風に締めると思ってた。もしかするとそういう風に想像して欲しかったのかもしれないが、それだとすると明らかに説明不足。なんだか面白かっただけにケチがついてしまった気分だ。

 とはいえ、物語を通じて語られる新しい人類(作中では古い時代から存在してたのだが)は面白いテーマだ。最近だとジェノサイドなんかがそれにあたるだろうし、猿の惑星なんかもある意味そうかもしれない。それでいて南米の文明の逸話と重ね合わせる点などは、J・Pホーガンの星を継ぐものに近い要素があってぐいっと引き込まれる。
 それにしても、改めて考えさせられるのは我々人類が所詮動物、しかしながら偉大な動物だという事だ。新世界からでも思ったが、やはり人間は動物に過ぎない。どんなに頑張っても、食欲、性欲、睡眠欲のような原始的な欲求から逃れられないし、脳内麻薬によってもたらされるご褒美を求めて毎日あくせく働いたり遊んだりするのが関の山だ。しかし一方で、人類ほど繁栄した種族はいない。蟻なんかはバイオマスでは人間に匹敵するが、単独種ではないし、恐竜なんかが世界を支配したといっても支配したのは恐竜を頂点とする生態系だ。
 その点人類は圧倒的な地位を占めている。世界をあまねく支配し、圧政を敷き、それでもまだ飽きたらず上を目指す。これほど野心的で成功した種族は先には一つもなく人類だけである。ゆえに人類が後ろを振り返れない。振り返っても前人未到の域に達した人種の未来は見えないからだ。

 このあたりのテーマもこの小説に描かれていたが、中盤からは少しずれた感じだったのでちょい残念。総じて思索のレベルは高かったが、小説としての完成度は今一歩だったので70点、良作






2012年8月27日月曜日

天冥の標6 宿怨 PART2


昨日更新しようと思ったはずがのびのびに
まずいなぁ
取り敢えず、前も書いた感想のシリーズの最新巻から

 

題名
 天冥の標6 宿怨 PART 2
作者
 小川一水
ジャンル
 SF
評価
 80点 良作

あらすじ
 前作に引き続き、対立の時代から始まる6巻part2。
 スレ違いに加えてコミュニケーション不足、思い込み、相互不理解、そして純然たる悪意が加わって宇宙情勢はめちゃくちゃに。人類を巻き込んだ大戦争と、その影で蠢くELTの姿が少しずつ明らかになっていく

感想
 あらすじがよく分からない事になってしまったが、かなり色々情報が出てくる巻なのでネタバレ放題(まぁ毎回ネタバレ書いてる気はするけども)になりそうなので自重。
 しっかし被害者意識というのはリアルでも厄介なものだけど、こじらせると大変な事になるというのが印象。しかもそこにドラえもんモドキの何でも我儘聞いてくれちゃう異星人が加わっちゃうからさぁ大変。どこまでも異星人達に振り回されていく人類が描かれている。とはいえ、異星人の方も野蛮で非効率な人類に振り回されてる感じも面白い
 構図としてはロイズ VS 救世軍 という中央政府VS地方ゲリラ的な戦いが進行しているのだが、その影ではオムニフロラ、ノルルスカイン、カルミアンという3つの種族が蠢いている。ただみんながみんな自体を把握できていないのが不幸。ノルルスカインは相変わらず退廃的でヤル気ないし、オムニフロラは統一すっぞとヤル気だしてるけどもノルルスカインに意識取られすぎ、カルミアンはミスチフとノルルスカインの区別ができていないようで、尚且つコミュ不足が祟って場を混乱させる一方。まぁ結果的にミスチフに乗っ取られたロイズを打倒しようとしてるから、目的には合致してるのかもしれない。
 何だか何が書きたいか分からなくなってくる。
 それにしても、ロイズが完全にミスチフの支配下にあったり羊飼い連中がノルルスカインのし徘徊と、ああやっぱり的な事が幾つかあったものの。少し前の状態とは完全に入れ替わってるのに驚いた。宇宙時代の最初の方は、ノルルスカインがネットを通じて人類の中枢を監視してて、ミスチフがその間隙をついて周縁部で勢力拡大という感じだったのに、あっという間に乗っ取られたのが悲しい。ノルルスカインまじ無能。
 この分だと、1巻でもまだ嘘というかフェイクが混じってそうで楽しみ。

 次は6巻part3らしく、通算で9冊目だけれども全10巻だと後二冊になってしまう。とはいえ後2冊で風呂敷たたむ気配が皆無だから、まだまだ折り返し地点という感じなんだろうか。いよいよSF超大作になってきた感じがあって面白かったので80点良作!
 



2012年8月16日木曜日

RDG レッドデータガール


たまたま本屋の平台で並べてあったので買ってみる
今のところは3巻までしか出てないと思いきや、調べると実は5巻まで出ているらしいことに先程きづく。でも新書は高いので、また今度か図書館で借りれるかなぁ
ちなみに、アニメ化もするらしい。そういえば本屋でそんなこと書いて会ったような気もする。アニメ化するから宣伝してたのね

この作者さんは西の善き魔女を大昔に読んだ気がする

    

名前
 RDG レッドデータガール 1~3巻
著者
 荻原規子
ジャンル
 現代、ファンタジー、青春
評価
 80点、良作!

あらすじ
 田舎の神社に住まう、現代人離れした鈴原泉水子(すずはら いずみこ)が主人公。
 運動もダメ、勉強も取り立てて出来ず、友達も少なく引っ込み思案で、パソコンや携帯に触ると謎の現象で故障させてしまう。しかし実はそんな彼女には、彼女も知らない生い立ちや血糖の秘密があって……
 泉水子の学園生活とその周りで巻き起こる伝奇ファンタジー


感想
 3巻までは特別、この本だけのオリジナル!って感じの事柄は出てこないように感じた。
 いい意味で王道伝奇ファンタジー(そもそもこのジャンル自体王道からは程遠いのだろうけども)であり、平凡かそれ以下の主人公とその彼女に眠る才能というか力という設定はテンプレ的だが、やはりテンプレになるだけの魅力を兼ね備えていると思う。
 一日で三冊読み終えただけに文章のテンポはよかった。3巻までだと話の中核?っぽいレッドデータガールな部分には殆ど触れられずじまいなので、どの程度話が進んでいるかは分からないが、取り敢えず主人公の泉水子が前向きに成長している姿は何とも健気で可愛らしい。
 伝奇ファンタジーな設定はいいのだが、反面戦闘シーンなんかはあまりおもしろくなく、色々と演出不足だなぁと思う出来。後2冊も早い内に読みたいと思う。

 

2012年8月15日水曜日

天冥の標6 宿怨 PART1

あああ、気合入れなおさないといかんです
うぅぅ




題名
 天冥の標6 宿怨 PART1
著者
 小川一水
ジャンル
 SF
評価
 75点 良作

あらすじ
 前作に引き続いての宇宙が舞台。
 因縁の少年少女のボーイミーツガールと、ロイズ―救世群のスレ違いいよいよ激動の時代が始まりそうな予感漂う6巻part1。

感想
 あらすじも短いが、内容も前巻とかに比べると濃いわけでもない。
 しかし色々なものが拗れていく様が如実に見て取れる。中学生の頃、若きウェルテルの悩みだかを読んだときに、冒頭のあたりで『人が悪意でもっていざこざになることはまれだ。むしろ、誤解が元でもつれる事が多い』という感じの事が書かれていて少年心になるほどと頷いたのを覚えている。
 そうなのだ。人間は善良とまではいかなくとも、衣食住揃っている限りはそれほど悪しき事を考える人間は多くない。NHKスペシャルでやっていた人の進化でも、協調することが進化の過程で深く刻みついている種族なのである。
 しかしそれが通用するのは、あくまで隣人同士、分かり合える者同士に限られる。知らない相手、それも一方一方に強い劣等感を持っていると、その妄想だけがエスカレーションして篭り成長してしまう。実感が伴う出来事であれば解決のしようもあるが、相手が妄想ならばその根源を退治しようがないのだ。
 それは現実においても同様で、例えば韓国なんかがそういう例だろう。彼らは植民地支配されたという劣等感の赴くまま、日本という抽象的存在への異常なまでの被害者意識を育ててしまい、戦後67年経った今も賠償しろ謝罪しろと喚き続けてしまっている。

 話が大分逸れてしまったが、本作での救世群も似た立ち位置だ。
 最も、彼らの場合は現実の不都合もあり、誤解だけではなく明らかな悪意の介在もある上で、更に被害者意識を育ててしまっているから性質が悪い。1巻の通りにいけば悲惨な未来しか見えないわけだが、ああ彼らにも救いが欲しいなと思う感じでした。part2も読んでから本当の評価かなーと思うpart1で75点良作でー



2012年8月14日火曜日

天冥の標V: 羊と猿と百掬の銀河


続いてもう一冊




題名
 天冥の標V: 羊と猿と百掬の銀河
著者
 小川一水
ジャンル
 SF
評価
 80点 良作!

あらすじ
 この巻は大きく2つのストーリーに分かれている
 一つは3巻・4巻の時代の後で、小惑星で農業を営むタック・ヴァンディというおっさんの話。もう一つは話の大本である、ノルルスカインとミスチフという2つの情報生命体の馴れ初めから、オムニフロラという脅威の誕生とそれに伴う戦争のあらましが語られる。

 前者のストーリーはタック・ヴァンディの元に、地球の女性研究者が訪れる所から始まる。
 彼自身の秘密、娘の秘密、宇宙で農業することの難しさ。そしてレッドリート。幾つかの謎と共に、敵対するミスチフ達の目的が見えてきたりする。
 後者のストーリーは、遂に人類の歴史の影に隠れて戦っていた2つの種族?のたどってきた道のりが語られる。

感想
 前巻とは打って変わってマジメにSFをやっている巻。
 2つに別れてるストーリーは両者とも重要ではあるのだが、やはり目がいってしまうのはノルルスカインとミスチフの方だ。こちらでは遂に、天冥の標世界の裏で戦ってきた黒幕がどういう存在なのかが明らかになる。想像以上に、距離的にもスケール的にも大きかった争いの存在に、正直上手く風呂敷畳めるのかなぁと心配になったりしたが、全10巻と銘打たれた作品ならこのぐらいのスケールでもいいのかもしれない
 異星人をどう描くかというのは映画でも小説でも漫画でも頻出のテーマだが、天冥の標の場合は2つの姿、情報生命体と生態系そのもので描かれている。情報生命体は描き方が違うもののよくある形だけれども、生態系そのものというのはあまりないように思える。
 そして尚且つ、かなりの難敵だという事も伝わってくる。

 知性というのは適応力だ。人類がこの地球で圧倒的な覇者たる地位に登ってきたのも、その柔軟性によるところが大きい。アフリカのサバンナにいたころの人類は、せいぜいスタミナがある程度の雑食の大型生物に過ぎなかった。しかしそれが火を発明し、服を着るようになり、道具を造りだし、家を作るうちにありとあらゆる環境に適応し、あるいは農業に代表されるように環境そのものさえ変えるようになった。
 進化というプロセスが環境への適応である適者生存の法則で動いているわけだが、知性という対応プロセスは進化よりも遥かに遥かに早い。鳥が恐竜から空飛ぶ鳥へと進化した期間は6000万年近くかかっている。しかし人類は、ギリシャのイカロスの神話からほんの数千年たらずで空を飛ぶことに成功した。まさしく圧倒的な早さである。

 だが、この生態系全体を有するオムニフロラは知性による回答プロセスに頼らない。
 彼らはありとあらゆる生物・遺伝子・解決プロセスを有しており、ただ単に答えを出すだけなのだ。そしてそのリソースはどこまでも広がり続けている。知性より早い巨大な生態系、それをいかに退治するかがこの物語のキーになっているのだろう。農家のおっさんの話で会ったレッドリートでさえただ1種で、生態系を変えてしまった。いわんやそれが連続しているオムニフロラをば。
 まさしく絶望的な戦いであり、ノルルスカインは正直もう勝てると信じていないような節さえある。

 そして、オムニフロラ=ミスチフの存在がわかってくると、何もかもが疑わしくなってくるのが常。ロイズ・スカイシー・救世群とあらゆるものが怪しさを増してくる。
 感想が長くなったので今日はここらへんにしておこう。暇があったら追加で、少しずつ物語の靄が晴れてきたのがたまらなく楽しかったので80点 良作!

2012年8月13日月曜日

天冥の標 3 アウレーリア一統

世間のお休み雰囲気に流されてダレてるなぁ(言い訳。気を引き締めないと
今日はダラダラと三冊本を読んでしまった。感想は明日にでも纏めて
ダラダラと読むのも楽しいのだけれど、いつか書いた通りテーマを決めて何か読もうかなぁ



名前
 天冥の標 3 アウレーリア一統
著者
 小川一水
ジャンル
 SF
評価
 75点 良作

あらすじ
 Ⅱの舞台から数百年。冥王斑と呼ばれたウイルスのパンデミックやらあったものの、無事太陽系への宇宙進出に成功した時代の話。
 時はまさに海賊ならぬ宙族時代。小惑星圏が経済の実権を握る中、ノイジーラント大主教国では肉体改造により真空に適応した《酸素いらず》の国だった。
 海賊狩りの任 にあたる強襲砲艦エスレルのゴスロリ艦長サー・アダムス・アウレーリアは、小惑星エウレカ に暮らす救世群の人々と出会う。 謎の戦艦ドロテア・ワットに繋がる報告書を奪われたと いう彼らの依頼で、アダムスらは海賊の行方を追うことになる。
 少しずつ歴史の影に隠れてきたミスチフが姿を現してくることになる。

感想
 三作目にして一番SFらしい作品かもしれない。
 だが、何か少し設定が無理矢理な気がした。主人公のゴスロリ姿の艦長も、ホモ・レズ放題なノイジーラントの設定も、被害がやべーから宇宙空間での威力兵器の使用禁止も、自然な設定というよりは物語を構成するための無理矢理な流れに見えてしまった。
 とはいえⅠで出てきた酸素いらず(アンチオックス)の連中が出てきたり、ドロテア・ワットでの一悶着、前巻で生まれた救世群のその後が描かれてたりと少しずつ物語が見えてくるのは楽しい。またロイズ非分極保険会社の設定なんかは秀逸だと思った。
 確かに、保険会社というのは特別な存在かもしれない。
 軍隊なら戦争が起きたときに活躍するし、病院も病気になった人がでたときに活躍する。消防隊だって火事が起きたときに活動するけども、保険会社は違う。保険会社は何かを未然に防ぐ事が利益に繋がる。だって保険料払いたくないから。そういう連中が巨大な勢力を構築すれば、世の中を安定させる方向のバイアス、つまり世界警察なるものに一番近いという設定はしっくりときた。
 まぁこの天冥の標におけるロイズは、そう単純な存在ではないようだけれども。
 内容自体は面白く、少しずつ解き明かされていく感じはよかったけれども、何だか腑に落ちない点があったので75点。良作!



2012年8月11日土曜日

天冥の標


時砂の王と同じ作者の本。全10巻と最初に銘打たれていて
今は、1巻が上下、2巻、3巻、4巻、5巻、6巻part1まで出てる。もうすぐpart2が出るので後2冊なのかな?流石に10巻まではないと思うけども
日本では滅多にないスケールの大きなSF。まずは1巻から

自分でも読んでて頭がこんがらがるのでそのうちネタバレ全開設定を纏めたいなぁ

 

題名
 天冥の標 1 上下
著者
 小川一水
ジャンル
 SF
評価
 70点 良作

あらすじ
 長いし分かり難いのでシリーズ全体と2つに分ける

<天冥の標>シリーズの解説
 時系列で並べるとこんな感じ(5巻)→→→2巻→3巻→4巻→5巻→6巻→→→1巻上下
 なので正直1巻を読んだだけだとちんぷんかんぷんというか、謎が多すぎて意味不明になる。そうはいってもやはり物語の構成として1から読み進めないと、少しずつ紐解かれていく謎についていけないだろう。
 肝心の世界観を説明すると完全にネタバレになるが、簡単に説明すると銀河規模の戦争に巻き込まれてしまった人類のお話(なのかなー?)
 時系列凖に並べたものの、SF的スケールで物語が進むので数百年程度隔ててるのも珍しくない。そのため同じ登場人物が出ることはほぼないが、血のつながりがあったりするのは少しにんまりしてしまう

<天冥の標1>
 1と銘打たれてはいるものの、既刊の中では一番遠未来に当たる作品。
 物語の始まりは、惑星ハーブCに植民した人類の中で統治機構に反発する一族の住まうセナーナという港町で始まる。そこで医者をしていたセアキという男は、あるとき奇妙な伝染病に出くわして、その発生源を調べていく内にイサリという奇怪な生物に遭遇することになる。
 謎が謎を呼ぶ第一作で、圧政を行う領主への反乱の最中もこのハーブCと呼ばれる植民地が余りに謎にみちていることが次々と明らかになっていき、そして最後は……

感想
 まさに謎に塗れているという印象なのが本作。後々説明されることになる固有名詞が満載で、少し速読気味で読んだのもあって2度3度読むうちに新たな発見があった。
 物語の展開としては、圧政を行う領主 VS 反旗を翻す地方勢力という構図があり、そこを主人公の医者のセアキや親友でセナーナの有力一族の息子などが駆けまわるのだが、そこで見えるのは変に現実を意識させる部分と異端な部分だ。後々読み返してみると、それらが上手く扱われているのだが、例えば電気羊なんかは初見では単なる小道具なのか伏線の一部なのかは理解できなかった。
 大きな物語の導入部として、幾つもの謎や伏線を仕込んだのは面白かったけれども、単体のストーリーとしては非常に消化不足であり、展開自体も駆け足で何が何だか分からないうちに終わってしまったというのが感想。良作どまりの70点

 






2012年8月9日木曜日

悪の経典


先日に引き続き、同じ人の作品。こっちは映画化するんだったかな
確かに映画化向きの作品だと思う。立ち読みで一気に読んだなぁ

   

題名
 悪の教典
著者
 貴志祐介
ジャンル
 サスペンス
評価
 80点、良作

あらすじ
 サイコな殺人鬼である英語教師、蓮見の繰り広げる学園青春サスペンス。
 殺人鬼な蓮見が、次々と巻き起こる学園の問題に血と汗でもって応えていく様が描かれている。明るい学級のために粉骨砕身、血も涙も忘れて(というか知らない)蓮見が奮闘するのだが、生徒達の一部はそんな蓮見の正体に気づいて……

感想
 まずこれを読んでぱっと思い浮かんだのは酒鬼薔薇事件。もっとも自分は小学生程度だったのでリアルタイムではあまり知らず、後になってちらりと事件のあらましを知った程度。しかしそれでも、他の人とは違うサディズムな感性が殺人にまで結びついてしまうのは衝撃的である。前に感想を書いた新世界よりでも、「悪鬼」という感性のずれた存在が描かれていたが、この「悪の教典」ではそこに焦点を当てるというかその悪鬼こそが主人公になっている。
 この小説の蓮見という英語教師は更にサイコな感性を拗らせ、むしろそれを理性的にさえ扱って実社会での問題解決に役立ててしまっているという恐ろしさがある。笑いながら人を殺す姿は背筋がぞくりとした。
 題名では悪の教典とある通り、蓮見は現代社会の人類にとってはまさに悪の権化だ。しかし一方で、彼の視点に立って彼の理屈を正しいとするのなら、彼はまったくの正義である。何を書きたいか自分でも分からなくなったが、つまりは相対的に自分でも悪いことをしているという自覚のある犯罪者と違い、自分にとって正しい事をしている犯罪者だということだ。現実には宗教テロなどがこの類例にあたるかもしれないが、普通人では正当化が必要な事柄をあっさりと飛び越えていく恐ろしさが描かれているように感じた。
 物語は、あらすじで書いた感じに少しずつクラスの歯車がずれていき、それを取り繕うと蓮見が奮起することから更にややこしくなり、最後は破綻へと向かう。最後の最後は更にぞくりとして、まさしく悪たる悪という存在が描かれていて、一気に読んでしまうほど興味深かった。
 面白かったけれども、結構不気味なので80点良作!





2012年8月6日月曜日

イリーガル・エイリアン

今日も朝から、しかしSFだらけになってきてしまった
 明日は少し趣向を変えるかなぁ。

 この本は単純に説明するとSF×裁判モノ。
 基本的にSFってのは舞台設定や小道具にちょっと突飛だけ屁理屈をくっつけたのを使いますよって前置きなので、SFと一口にいってもミステリーや恋愛もののようにストーリーラインまでは固定されない。それこそコテコテの恋愛物もあれば、まったく別視点の小説もある。ただ共通していえるのは、現実ではない突飛でありつつも面白い世界観の構築といった点だろうか



題名
 イリーガル・エイリアン
著者
 ロバート・J・ソウヤー
ジャンル
 SF
評価
 80点 良作

あらすじ
 人類の初めてのエイリアンとのファースト・コンタクト。4光年あまり離れたαケンタウリに住むトソク族が飛来したのである。友好的な彼らとのファーストコンタクトは順調に進むがあるとき事件が起きる。それはトソク族の滞在する施設で惨殺肢体が発見されたのだ。
 彼の裁判の中で段々と明らかになっていく事実。殺人事件の真相、そしてトソク族の本当の目的とは……

感想
 まず読み始めと読み終えたときのトソク族のイメージは一変する。というか登場人物各々の印象も変わっていく。
 その点で面白いのは、トソク族がまったく人間に似ていない異星人だという点だ。日本のSFでは大抵エイリアンといえば、知性のない化け物かはたまた人類タイプのが多いが、その点このイリーガル・エイリアンで出てくるトソク族はまったく人類とは異なっている。そしてその彼らの生態が少しずつ裁判の中で明らかになっていく過程はまさにSFの醍醐味だと感じた。
 そして尚この小説を興味深いものにしているのは、人間から見たエイリアンだけではなくエイリアンから見た人間の姿も描かれているという点だ。彼らの思考が少々人類にそっくりだという点はひっからないでもないが、宗教に近いものが存在していたり実は内部でも対立があったりというのも興味深い。そしてその謎が少しずつ解き明かされていく様はミステリーとしての醍醐味だとも思う。

 そういう意味では、物語の端々から著者の価値観。多少日本とは違う西洋的な、アメリカ人的な感覚がにじみ出ている。まぁ対して違和感があるわけではないが、文章を通じてそういう違った価値観に触れられる(あるいは触れたきになる)のは思い込みにしても興味深いと思う。
 全体として非常に面白かったが、表紙がグロいのと少々のとっつきにくさがあったので80点。良作だと思う

2012年8月5日日曜日

ルナゲートの彼方

自分の感想を読みなおしてみると、ひどく拙いことを実感。自分の感想と解説の境目が難しい

 この本は米国のジュブナイルSFノベルの大御所ロバートAハインラインの作。彼の作品は割りと読んでいるが、どれも高水準で安定して楽しめる。その中から特に目立った作品というわけではないが、手元にあったのを一つ。



題名
 ルナゲートの彼方
著者
 ロバート・A・ハインライン
ジャンル
 SF
評価
 70点 良作

あらすじ
 恒星間ゲートによって、瞬時に惑星間を行き来する時代。
 両親の反対を押し切って主人公ロッドは、上級生サバイバルテストに参加するために十数名のクラスメイトと共に未開の惑星へとワープすることになる。しかしワープした彼らを待っていたのは、ゲートの事故による長い長いサバイバルのための長い長い戦い。

感想
 SF版15少年漂流記といったところだろうか。
 サバイバルテストのためのワープ、事故による漂流、何とかしての生存、仲間たちと協力しての奮闘。そして少しずつ生存事情を改善する様、少年少女の共同生活にありがちな恋模様など、いわゆる漂流ものの醍醐味を捉えていて面白い。
 しかし個人的に一番心に残ったのは最後の漂流生活が終わった後である。

 大人たちが助けにきたことで、少年少女が築きあげたコミュニティが崩壊し、そして現実世界へと立ち返っていく中で主人公が取り残される姿である。何だか夏休みが終わってしまって、自分は宿題が終わってなくまだ休み気分が抜けきってないのに友人はいつのまにか宿題を終わらせ学校に適応してしまっている。そんな姿を見せつけられてしまう気がする。
 正直内容は要鉄を抑えていて面白いのだが、個人的には少し夢のないラストに興醒めだったので良作どまりかな。いやでも、ああいうラストでなければ心に残らなかったかもしれないので、やはりああいうラストだからこそいい作品なのかもしれない。でも当時の自分の寂寥感に70点。


2012年8月4日土曜日

時砂の王

今日はもう一冊感想かければなぁと思う。一週間続いたのでほっと一息
今回の著者の小川一水さんは、導きの星からのファン(多分)。個人的には風呂敷の広げ方(世界観の構築)には定評があるけど畳み方(締めの展開、オチ)に難ありな印象。でもこの小説は最後まで上手く纏めていると思う。ちなみにハリウッド映画化するとかしないとか、まぁ多分ハリウッドにありがちな映画化の権利だけ獲得して終わりなパターンだと思うが



題名
 時砂の王
著者
 小川一水
ジャンル
 SF、タイムトラベル
評価
 70点、良作

あらすじ
 時を渡って繰り広げられる人類の生存をかけた戦争のお話。
 とはいえ初めから負け戦濃厚で、地球を奪われつつも外惑星系に根城を築いて反撃しようとするところから始める。その一貫として、発明されたばかりの時空転移を使い過去に部隊を送り込み有利に戦争を進めようとする。しかし、同時に時空転移が発明されたにも関わらず、現在の時空で人類が敗北しつつあるのは遠くない未来にこの世界が滅びる(=過去に軍を送れない=今の世界に未来軍が着ていない)ことを暗示していた。
 その未来を変えるべく(というよりは滅びない未来の世界へと分岐させるべく)奮闘するが、そこは流石に人類。滅亡の危機でも主導権争いに終始して失敗を重ねる。
 最終的には戦略を転換し、近い未来から改変していくのではなく遠い未来から虱潰しに時間を防衛することになる。主人公のメッセンジャーO(未来から過去へのメッセージを運ぶものたち)はその方針に反対し、時間を1つずつ戻ることでより多くの人々を守ることを決意する。
 しかし人類に勝利は訪れず、時間軍(勝利を収めた後の世界で創出され、過去へと送られるはずの軍)の創出は行われず終にメッセンジャーOは過去から虱潰しに敵と戦い続けた本隊と合流することになる。
 場所は日本、邪馬台国の時代。人類の天敵との最終決戦が始まろうとしていた。

感想
 どこか悲壮感漂うタイムトラベルもので、結構駆け足というかテンポよく進む。もう少しながければ、歴史を辿っていったのだろうがそういう要素はあまりない。
 とはいえ時を辿り、敵の正体を知ることで少しずつ絶望の戦いであることが明らかになる主人王:メッセンジャーOの足掻く姿や、そんな彼と歩み共に戦うことになる邪馬台国の少女壱与との共闘がメインに据えられていて、物語の流れも(未来→壱与の時代→近未来→壱与の時代2)という如く、交互に描かれている。

 ただ少し腑に落ちないのはやはりラスト。
 ネタバレになるが主人公が死んだ後で、奮起した壱与の元へ時間軍が戻るシーンは中々の矛盾を感じた。説明では戦況が有利に進めば進むほど、未来でも人類が発展し技術進歩が進み最終的には人類軍の創設に繋がるとの事だったが、ラストのシーンでメッセンジャーOが死ぬあたりはとてもじゃないが人類側の戦況は最悪で、時間軍が来なければ敗北必死だったのではないかと思う。
 とはいえ全体としては短い割には纏まっていると思う。ただし前述の感想通り、タイムトラベルものとしてのツボは抑えられてない感じ。


2012年8月1日水曜日

黙示の島

割りと好きな作者の作品
 有名ドコロでは皇国の守護者あたりだろうか
 ただ遅筆すぎて。。



題名
 黙示の島
著者
 佐藤大輔
ジャンル
 SF
評価
 80点

あらすじ
 太平洋に浮かぶ離島に主人公がやってきた所から物語が始まる。
 小さいが住み心地のよさそうな島で主人公はヒロインである女医と親交を深めたりするが、彼が島についた時点ですべてが"終わって”おり後は始まるのを待つのみだった。
 翌日には島の駐在が奇妙な死に方で亡くなり、次々に異変が巻き起こる。主人公たちは助けを呼ぼうと、島の引きこもり軍オタ少年や剣道少女、元諜報部員の爺さん達の手を借りて外から助けを呼ぼうとするが……

感想
 いわゆるゾンビ物の小説。
 個人的にゾンビ物を始めとしてパニック物は、異常が始まる前と後のギャップ、そして少しずつ事実が明らかになるにつれて追い詰められる主人公一行、更に周囲の状況が分からない閉塞感などにあると思っている。なのでバイオハザードの映画は1しか面白くないと思う。
 この小説はそこらへんの要件を上手く描けているが、いかんせん一冊で終わりなので少し弱いかもしれない。何しろあらすじで書いたように、小説の始まった段階でパニックへの条件はすべて整ってしまっていて読み終えてみると、あれはもう日常ではなかったんだなと気づくことになるからだ。
 またパニックの進行も、出来ればもう少しじんわりと進んで欲しかった気がする。みんなが状況を把握して絶望打ちひしがれる前に次々と状況が進んでしまい、躊躇なくゾンビとの戦いを始めてしまうからだ(最も躊躇なく戦える面子が揃うところには理由がある)。
 ただし不満点はその程度で、著者の作品に多いような薀蓄が散りばめられているのも楽しいし、ゾンビ化の設定もよく練られていてリアリティがあった。キャラクターも、それほど長くない割にはきっちりと描かれていて、分かりやすいのも好印象。全体的に駆け足なのであっという間に読み終える事だと思う。
 ラストでは、離島で起きたパニックが既に世界中へと伝染してしまった事が描かれていて、そこは淡々と書かれているだけに否応なく想像力をかきたてる。あまり本作とは関係ないが、パニック物は多くあって、小松左京の復活の日みたく人類滅亡寸前までの描写をしている小説は多くあれど、アポカリプス後を描いてる作品が見当たらないのが不満。今度探してみようと思います。



2012年7月31日火曜日

魔術師の帝国

三日坊主で終わらないための四日目
この本を読んだのは高校生のときぐらいだろうか
本は今も持っているのだが、表紙カバーがないので写真は割愛
↓の画像はアマゾンのアフィリンクなのでクリック注意




題名
魔術師の帝国
著者
レイモンド・E・フィースト
ジャンル
ファンタジー
点数
80点

あらすじ
主人公は基本的に城で育った孤児のパグ視点だが、途中から料理人の息子トマスも加わる。
少年時代を終えた二人はそれぞれ城の公爵に仕える魔術師や戦士の弟子として日々を過ごすが、あるとき異世界からの侵略者が現れた事で二人の人生は一変する。
パグは異世界の魔道の術を学び、トマスは古の竜人族の秘宝を受け継ぐ無双の騎士となり、それぞれの運命を全うする事になる。

感想
海外のハイファンタジー(現実と繋がりのない、まったく無地で一から設定を組み上げられたファンタジーの事)にしてはとっつきやすく、一気に読み終える事ができた。
不幸な出自、城の姫とのロマンス、異世界からの侵略者、苦難の奴隷生活、エルフの女王との結婚、異世界間カルチャーショックと、分かりやすくファンタジーに抱く面白みが物語全体にちりばめられていて非常に娯楽に特化しているのに好感。翻訳ものなので多少文体が読みにくい部分はあるが、内容自体は日本のラノベとそう大差はない。
二人の主人公も、最初の無邪気な姿から想像できないほど心身共に成長していく様は、サクセスストーリーの如くで爽快感があった。
難点は登場人物結構多いことで、特に世界を跨いで話が展開するようになってからは、あれ?この人誰だっけという事になったりする点。
とはいえトータルとしては非常によく纏まりつつ、更なる世界観の広がりもあり、ファンタジーの醍醐味を感じられるいい作品だと思う。




2012年7月29日日曜日

ソードアート・オンライン


ネットで話題になってるっぽい作品の感想をば
どうやらアニメになってるらしい、ちょっと冒頭だけ見てみたのだけども(ごめんなさい
原作通りに進めていく感じなのだろうか
ライトノベルと呼ばれる種類のこのソードアート・オンラインだが、最初に読んだのはかなり昔。まだ一番はじめの話だけしか掲載されていない頃の事。まさかあのときには、web上で無料公開されてた小説が単行本になりアニメ化されるようなヒット作になるとは思いもよらず
これからの時代はこういう流れが加速していくんだろうかと遠い目

↓の写真で5冊しかないのは、残りは立ち読み&ネットで読んだのと大差なかったため
集めようと思っていたけども中々難しい。アリシゼーションからは揃える予定



題名
 ソードアート・オンライン
著者
 河原礫
ジャンル
 ファンタジー,SF,ゲーム
評価
 80点

あらすじ
 まず1巻~2、3巻あたりまで描かれるのは表題にもなっているソードアート・オンライン、略してSAOというゲームでの世界の物語。
 近未来、SAOという革新的なVRMMO(ヴァーチャルリアリティマッシブマルチオンラインRPG)にゲーマーな主人公キリトが参加するところから物語が始まる。ゲーム大好きな彼は、このゲームのβテスト(試験プレイみたいなもの)にも参加しており準備ばっちりでゲームオープンの日を迎える。
 しかしそこで出くわしたのは、製作者によるSAOのデス・ゲーム(死んだら現実でもゲームオーバー)化、ゲームから出るためにはSAOをクリアしないといけないという宣言であった。キリトはデス・ゲームと化した世界を生き残るため、βテストで手に入れた知識を縦横に使おうと決意するが、その決意は同時に他の新参プレーヤーを見捨てることに繋がって葛藤を抱く。
 そうありつつも日々前進あるのみ、さもなくば死をという世界で彼はトッププレーヤーとしてゲームクリアに向けて、プレーヤー達の戦闘に経って奮闘するのであった。

 続いて4巻あたりからは、アフルヘイムオンラインというゲームに舞台が変わる。
 こちらはSAO後に出来たゲームであり、前述のデス・ゲームとは関係はない。しかしこのゲームにSAOで出来た嫁が捉えられているという与太話を信じこんだキリト君は一人決意を新たに突撃する。
 アフルヘイムオンラインは、ソードアート・オンラインが剣を中心したファンタジーRPG世界だったのに対して、妖精さん達をベースにした新人類のRPGである。殺伐とした印象はなく、これが一番MMOとしてリアリティがある印象

 更に続いて6巻あたりからはまたまたゲームが変わってガンゲイルオンライン(だったはず)に参加。
 前述の嫁を救助したキリト君だったが、新たな彼女を探しに今度は火薬の匂い漂う銃と男の世界に立ち向かう。しかし元々女顔な彼が、美少女ちっくなアバターを引き当ててしまったりでさあ大変。という話ではないが、とにかく巻き起こった問題であるSAO時代のPK(プレイヤーキラー、要は人殺し)が暗躍している可能性がありとの事で大奮闘。

 そしてそれをも解決して終には9以降のアリシゼーション。
 こちらはゲームの世界を飛び越えて、仮想宇宙とでもいうべき世界での物語。そこに巻き込まれるまでにはまた少し話があるのだが、そこは端折る事にする。
 とにかくこの世界へと突入したキリトは、やはり持ち前のイケメンっぷりと剣の技でクエストの達成に向けて奮闘するのであった。

 感想
 途中からはあらすじが適当になってしまったので、もっとよく知りたいという方は本を読むか他のブログで見て欲しい。
 昔WEBで読んだときには確かアリシゼーションもかなり進んでいて最後の方まで読んだ記憶があるけれども、単行本化したことで大きく話の流れが変わっている(今のところ話の筋は同じような気がするが)。とにかく続刊に期待。
 肝心の感想だが、やはり面白い娯楽作品だというところ。
 いい意味でライトノベルらしく、もったいぶった情景描写や延々と進まないストーリテリングはまったくなくテンポよくオレツエーが味わえる。

 ゲームの世界でという題材自体は昔からあったもののように思える。
 題名は忘れたが、映画でも架空の世界に住んでいて気づいてしまう男を描いた(マトリックスではない)話もあったように思うし、ドラマでも子供の頃に天才テレビくんの後でゲームと現実世界を行き来して最後はどちらが現実か分からなくなるジャニーズドラマ。あるいは天才テレビ君で描かれていた恐竜大陸、ナノセイバー、ジーンダイバー(←この三つは名作だったと思う。また見てみたい)も現実とヴァーチャル・リアリティを行き来するものだった。ゲームでも.hackなどがあり(これは同時期かも)早々新しいテーマではないかもしれない。
 しかし当時読んだときの自分はひどく新鮮さを描いたものだ。
 ある意味、二面性を持つヒーロー象。アメコミなどで描かれる普段は企業の社長だが、夜は人知れず悪を退治するバッドヒーロー。あるいは水戸黄門に通じる、普段は好々爺だがその実天下の副将軍などに似て、一つの人格の中に二面性を持ち合わせたというヒーロー象そのものな感じだった。
 小説に嘘はつきものだが、大抵読んでいてうそ臭いなぁと感じてしまうと、それが始端で話全体への興味を失ってしまうことが多々ある。しかし本作はそれをゲームだからと、ゲーム世代の自分には分かりやすくダイレクトに伝えてくれるのがまた有難い。
 誰しもが勇者になれるゲームの世界。MMOはそれとは事情が違うが、それでもあくまでこの小説の中では普通の少年が、ゲームの世界の中で文字通りの勇者になっていくサクセス・ストーリーに違いなく、やはりそこには端的な爽快感が含まれているように思えた。

 あれこれ小難しく書いたけれども、結局この小説の言い分は娯楽に特化できている部分だと思う。今後もそれを貫いていって欲しい

宇宙軍士官学校1-前哨-

今日2冊目
 でたまかっていうラノベを書いた人の作品。10年ぐらい前に読んだはず
 御年54で元警察出身だというので二重の驚き



題名
 宇宙軍士官学校1-前哨-
著者
 鷹見一幸
ジャンル
 SF
評価
 80点

あらすじ
 宇宙からきた異星人<教導者>によって様変わりした世界が舞台。
 そこで治安維持軍の士官だった主人公はあるとき辞令を受け、宇宙軍へと所属することになる。しかしその辞令はもっと上の所から出たもので、主人公は近い未来人類の前哨(スカウト)として活躍することを期待された次世代の士官候補生へと選ばれた事を知る。
 <教導者>達が運営する士官学校で、宇宙戦争の術を学びながら友人関係を深めたりライバル達と切磋琢磨する主人公の姿が描かれている。

感想
 これは素直に面白かった。
 異星人の設定や、SF的ガジェットの各種は特に奇をてらったものはないのだが、そうであるがゆえに読みやすかった。多少、日本人とは~という部分にこだわりのあるのかそういう文章が目立ったが、それも特に気にはならない。
 ストーリーの方は本当に出足というところだが、<エンダーのゲーム>のような学生同士の対戦がありそこで作戦を巡らせる姿などは本当に上手く描かれていたように思う。とはいえ<教導者>や銀河連邦の敵についてはまだ暗いベールがかかっていて、これらは今後の展開に期待。
 知性化シリーズのような多種多様でユニークな知的生命体が現れるのか、それとも教導者のような人間あるいは高位人類的な立ち位置な種族主体になるのか興味が尽きない。
 でたまかでもそうだったか、今作でもへたれすれすれの切れ者主人公。こういうキャラクターは日本の小説ではよく見かけるのだが、海外の小説ではあんまり見かけない気がする。マッチョ信仰の海外と、優男信仰の日本とで文化的な違いが文壇にも現れているのだろうか。

コロヨシ!!

二日目
 今日も本棚の手近にあった本から
 読んだのは半年ぐらい前かな?



題名
 コロヨシ!!
著者
 三崎亜記
ジャンル
 スポーツ
評価
 70点

あらすじ
 日本が舞台なのだが、現実の日本とは違う日本が舞台の小説。
 そこでは『掃除』と呼ばれるスポーツが存在している。内容は新体操とかフィギュアスケートみたいな感じをイメージ。魅せるスポーツらしい。しかしこの掃除には色々と秘密があって、この世界で起きた戦争や文化と深い関わりを持つ。表題のコロヨシ!!はそのスポーツ「掃除」の掛け声で、コレ以外にも耳慣れない「掃除」用語が沢山出てくるのが本作の特徴。
 その掃除部を舞台に、主人公が友情に恋に部活にと励んでいく物語である。

感想
 ここまで読むと難解な小説に思えるが、読んでみるとそう難しい話ではない。
 単純に説明するなら、日本っぽい世界で掃除という架空のスポーツを舞台に繰り広げられるスポコン小説と言うべきか。高校生の主人公が恋に友情に悩みながらも、掃除に打ち込んで成長していく様は同様のスポコン小説に似て爽快感がある。
 ある意味、世界観の説明自体が物語の肝でもあるのであらすじでどこまで書くのか、感想でどこまで書くのか迷った。
 またコロヨシ!!の秀逸な部分は、架空のスポーツである掃除の描写の巧さだとも思う。
 話は少し逸れるが個人的に小説という媒体は、非常に低次元低情報な情報媒体だと感じている。これは悪い意味ではなく、単純に漫画・ゲーム・映画など他の媒体に比べれば人が得られる情報は文字からだけであり、前者の絵あるいは動画、音楽などから得られる情報とは桁違いの少なさだ。しかしそうであるがゆえに、小説は物凄く自由であるとも思える。著者の想像力に掣肘される部分はあるが、逆に言えば想像力の届く限り筆力の届く限りの表現ができるのは小説だけである。漫画やゲーム・映画はそういう想像力の嘘が見えると急にしらけてしまうし、そういう嘘を存分に羽ばたかせられるのは小説だけであろう。
 本作はそういう点において、架空の掃除というスポーツに一定のリアリティを与えつつも爽快感あふれる描写をしており、ストーリー部分のある種ありきたりな展開といい意味でギャップがあった。

2012年7月28日土曜日

ふわふわの泉

これは割りと最近読んだ本。復刊されたらしい
結構前の星雲賞受賞作
※星雲賞はSF小説とか漫画とかアニメに与えられる賞



題名
 ふわふわの泉
著者
 野尻祐介
ジャンル
 SF
評価
 80点

あらすじ
 科学部部長の主人公の少女が、ふわふわと呼ばれる物質を見つけるところから始まるサクセス・ストーリー。

感想
 ふわふわと命名される事になる物質を実験中の事故で見つける所から始まる。
 物語の要点は2つ、一つはふわふわと呼ばれる物質によって発展していく世界そのもので、まさにSFらしい世界観の構築が楽しめた。想像するだけで面白くなってきて、あぁ現実世界でもふわふわできればいいなぁと思ってしまう出来。SF小説だと難解な理論を土台にしていて、それを基に構築される世界観を読むだけで一苦労(とはいえそれが醍醐味でもあるのだが)な事が多いが、本作ではすんなりと想像できる上に軌道エレベーターなどSF的アイテムや、異星からの訪問者まで出てきて更に妄想の翼が広がる。
 もう一つは主人公の少女である朝倉泉の世界観。
 話は変わるが最近ノマドと呼ばれる仕事形態(ノマド=遊牧民=オフィスなどで特定の席を持たず、ファーストフード店など転々として仕事をする)が流行っているらしいが、それに通ずるものがあると思う。小説のなかでも自由きままにやりたいように生きるためにあれこれ発明したのに、逆にそれにしばられたり、でもそれでも自分の思うがままを貫いたりとある種の哲学が垣間見えつつも、エンターテイメントとしての要鉄は外さないのが面白かった

惑星カレスの魔女


2冊目 ジブリっぽい表紙が特徴的。こちらを呼んだのは大分昔。10年以上前かも





題名
 惑星カレスの魔女
著者
 ジェイムズ・H・シュミッツ
ジャンル
 SF・ボーイミーツガール
評価
 80点
あらすじ
 うろ覚えなのでかなり間違っているかもしれません。
 主人公は少々うだつのあがらない感じのある青年。地元では婚約者にふられたりでやっぱり不運の星に生まれている感じ。
 そんな彼が貿易商として訪れた星(SF【スペースファンタジー】的な世界観な小説で、惑星間での貿易が盛ん)でひょんな事から3姉妹の奴隷を手に入れる事から始まる。少々ありがちなボーイミーツガール。三姉妹は上からおっとり落ち着いたマリーン、小悪魔っぽいゴス、まだまだおこちゃまなリーウィットの3人(ちょっとうろ覚えなので、性格はあってないかも)ただし、物語中盤からずっといっしょになるのは次女のゴスだけなので三姉妹といっても3人一緒というわけではない。
 その三姉妹を助けて連れてこられた惑星カレスで主人公は、自分にも魔女の能力(超能力的な)が備わっている事を教えられる。当人はそれほどの意欲を見せないが、否応なく物語に巻き込まれていくことになる。
 きちんと書くとあらすじが長くなってしまうため大分割愛したため、伝わらない気が大いにするけれども一言でまとめるとユーモラスな冒険活劇(SFアイテムと超能力も出るよ!)といったところ。纏まってないかも

感想
 面白い。
 シンプルにそう思える小説。ハードSFにつきものの考察や何やらは気にせずに読めるのが痛快で、小難しく考えずに主人公と魔女の少女たちの織りなす冒険を楽しむ事が出来た。特にテンポがよく、一冊だけでそれほど分厚い小説というわけでもないのに、呼んだ後は結構長く彼らの冒険に付き合った感じがある。
 表紙のジブリっぽい絵に引きずられたイメージもあるかもしれないが、何だか90~120分のアニメ映画として作ったら結構面白そうという感じの内容だったはず